自治体の予算作成業務と社会的養護自立支援拠点事業の事業設計に関する調査結果報告会を開催しました。

2025年5月9日(金)に、自治体の予算作成業務と社会的養護自立支援拠点事業の事業設計に関する調査結果報告会をオンラインで開催しました。

報告会では、自治体での予算作成業務に関する基礎知識、自治体の事業担当者へのヒアリング結果、事業を実施している事業所での参与観察結果、相談支援業務の実態と事業設計に関する課題について、えんじゅに加盟している事業所のみなさんに共有しました。

 

【開催概要】

– 日時:2025年5月9日(金)11:00-13:00  

– 形式:Zoomによるオンライン開催  

– 参加者:えんじゅネット加盟事業所(社会的養護自立支援拠点事業実施者含む)61名

 

【スピーカー】

えんじゅ事務局:今井峻介(調査担当)

 

【概要】

1.調査実施の背景と目的

昨年度の活動を通じてわかったことを踏まえ、事業実施団体が自治体予算を獲得していくために何をすればいいのかを具体化するために自治体予算に関する調査と担当者へのヒアリング、拠点事業の実態を踏まえた上でどのような成果を設定し、事業を改善していくべきかを具体化するために参与観察を実施しました。

 

 

 

2.自治体の予算作成業務の基礎知識

自治体の予算作成のスケジュールとプロセス、各プロセスで事業担当者がどのように動いているのかという基礎知識について説明しました。また、実際に拠点事業の予算獲得を担当した自治体担当者の方に伺った実務上のポイントについても共有しました。

 

3.拠点事業担当者へのヒアリング

拠点事業を実施している10自治体の事業担当者に、拠点事業で予算獲得を進めていく上でどのような課題があるかについてヒアリングを行いました。事業所から要望を上げるだけではなく、自治体担当者のみなさんが抱えている課題を解決していかないと予算獲得は難しいのでは、という示唆が得られました。

 

拠点事業を実施している3つの事業所を訪問し、日々どんな風に業務を実施しているのか、どんな体制で業務を実施しているのかを観察した結果を報告しました(長期で滞在させて頂いたわっかっかさん、カモミールさんについては、それぞれ報告書がA4で20ページ以上になったので、その中からピックアップして報告を行いました)。

 

 

 5.拠点事業の事業設計上の課題について

実務の観察結果から、相談支援と呼ばれている業務には、関わる、見立てる、考える、動く、気にかけるの5つの動詞が含まれており、当事者の状態やチームの状況を踏まえた上でそれらの最適な組み合わせを選択し、実行し、調整し続けるという営みである、ということが見えてきました。そのため、相談件数という考え方で事業の実態を捉えることは難しいという示唆を得ることができました。

また、「状況に応じて最適解を出し続ける」相談支援を実行するには、個人の専門性やスキルだけでなく、即時的にコミュニケーションを取りながら、柔軟に役割や対応を変えていく、最適化する必要があり、そのためチームや体制が必須である、ということが調査から見えてきました。一方で、現状は、こうした柔軟な役割分担をすること、体制作りのために時間を割くことは事業設計には含まれていません。どのような実行体制が必要かという観点も今後の事業設計の改善に組み込んでいく必要がある、という示唆が得られました。

 

【参加者の感想やフィードバック】

報告会終了後に、参加者から以下の声をいただきました。

予算の流れなど、見聞きしたアバウトな情報しか知らなかったので、基本的な根拠からわかりやすく説明いただき、本当によくわかりました!これからきっともっと協力して取り組んでいけそうな気がします。ありがとうございました。

自治体へのアプローチや自治体の状況等を知ることができたことがとてもありがたかったです。また、他県の拠点事業の活動の様子や思いを知ることができてとても参考になりました。

貴重なヒアリングと整理をありがとうございます。このような情報を行政や国の方々が把握してくださると本当にうれしいなと思います。私も勉強になりました。

『参与観察結果』について、現場の人間としては自分たちの活動をしっかりと認証されたように感じ、とてもうれしかったです。活動の仕方としては、カモミールさんの活動に近いのですが、普段の何気ない活動の中の気配りや選ぶ言葉など接し方へのプロセスがあること、また、その繊細な部分をとらえて言語化していただいたことで、自分たちのしていることの価値をあらためて感じることができ、行政に対しても時間と人の少なさをアピールする際のポイントの一つにできる感じがしています。

後半の参与観察からの分析について(今井さんの経歴をお見受けする限りソーシャルワークについて学ばれた経験がない中で)ソーシャルワークの現場に数日ずつ入られて、短い期間であそこまでソーシャルワークの根幹に気づかれまとめられた事、感動すぎて興奮しました!素晴らしかったです。

このような機会を提供いただきありがとうございました。とてもわかりやすく、相談支援事業を言語化していただいたのがとても参考になりました。

 

【問い合わせ先】  

本報告会の資料の詳細を希望される方は、問い合わせフォームからご連絡ください。

 

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