自治体担当者向け「社会的養護自立支援拠点事業に関する勉強会」開催報告

2026年7月23日(木)に、自治体の事業担当者向けに「社会的養護自立支援拠点事業に関する勉強会」をオンラインで開催しました。

 

勉強会では、拠点事業の制度についての行政説明、拠点事業と併用することで効果的な関連事業の解説、そして「緊急的な一時避難的かつ短期間の居場所の提供」の実態把握調査結果の3つのテーマについて、自治体の事業担当者の方々に共有しました。

【本勉強会の目的】
本勉強会は、こども家庭庁の担当者様と自治体の皆様による直接対話を通じ、本事業への理解深化とさらなる活用推進を図る目的で開催いたしました。

 

毎年行われる国の事業拡充や補正予算などの最新情報をタイムリーにお届けすることはもちろん、資料だけでは判断が難しい疑問点や詳細についても、その場で直接ご確認・ご相談いただける機会としております。

 

さらに本年は、「緊急的な一時避難的かつ短期間の居場所の提供」に関する実態把握調査を実施いたしました。自治体担当者の皆様へ現場の具体的な実施状況や課題を共有させていただいた上で、それぞれのリレーションや地域の実情に合わせた積極的な事業活用につなげていただくことを目指しております。

 

【開催概要・成果】

– 日時:2026年7月23日(木)14:00-15:30
– 形式:Zoomによるオンライン開催
– 参加者:39自治体の担当者・関係機関 47名(申し込み:44自治体 57名)
– 主な成果:事前・当日合わせて21件の質疑応答が行われたほか、アンケートでは次年度に向け「児童養護施設等の職員の資質向上のための研修事業(40.9%)」や「緊急的な短期間の居場所提供(36.4%)」の活用を検討したいという前向きな回答を多数いただきました。

 

【スピーカー】
・こども家庭庁 支援局 家庭福祉課 課長補佐 岩瀬豊明様
・こども家庭庁 支援局 虐待防止対策課 相談支援係 係長 佐藤ちひろ様
・えんじゅ事務局:村田早耶香(調査・政策提言担当)

 

【概要】

1.「社会的養護自立支援拠点事業」について(こども家庭庁 家庭福祉課) 

社会的養護自立支援拠点事業の制度理解および活用の推進を目的に、事業についての行政説明を行っていただきました。自治体担当者の多くが昨年から入れ替わっている現状も踏まえ、拠点事業と拠点事業に関連する事業などの基本的な情報から改めてご説明いただきました。

 

社会的養護自立支援拠点事業についての説明スライド

 

 

休日夜間緊急支援事業についての説明スライド

 

 

児童養護施設等の職員の資質向上のための研修事業に関するスライド

 

 

社会的養護自立支援拠点事業も(2)以外は本事業の対象施設なので、ご活用いただけるように、自治体の拠点事業のご担当者様にもご共有いただきました。

 

 

2.拠点事業と併用することで効果的な事業について(こども家庭庁 虐待防止対策課)

 拠点事業と併用することで相乗効果が期待できる関連事業についてご説明いただきました。親からの虐待等に苦しむ10代〜20代に対し、宿泊や基本相談等を提供する「こども若者シェルター・相談支援事業」、孤立する学生等へ生活援助物資の配布等を通じて相談へつなげる「アウトリーチ支援」、支援が途切れやすい若者とつながる「地域における若者支援コーディネート事業」の概要や目的について共有していただきました。

 

こども若者シェルター・相談支援事業に関する説明スライド

 

 

虐待・貧困により孤立し様々な困難に直面する学生等へのアウトリーチ支援事業に関する説明スライド

 

 

地域における若者支援コーディネート事業に関する説明スライド

 

 

3.「緊急的な一時避難的かつ短期間の居場所の提供」調査の報告(えんじゅ) 

えんじゅより、「緊急的な一時避難的かつ短期間の居場所の提供(緊急的な居住)」に関する調査報告を行いました。

 

近年、社会的養護自立支援拠点事業において「緊急的な一時避難的かつ短期間の居場所の提供(緊急的な居住)」のニーズが高まっています。現場からは「実施してみたものの心理的負担が極めて大きく、他自治体の事例を参考に持続可能な支援方法を模索したい」という切実な声が寄せられています。

 

しかし現状は、夜間対応や不確実性といった現場の困難さに制度設計が追いついておらず、十分な組織力を持つ一部の団体しか実施できない構造的課題があります。さらに、実施体制や負担軽減策に関する情報共有が不足しているため、新規参入や安定運営のハードルが高く、職員の負荷増大に対する早期の対策が急務となっていました。

 

 

本調査は、職員がバーンアウトしづらいような持続可能な形で、居住支援を必要としている若者に適切な支援を届けるには何が必要なのか?何をどう変えればいいのか?を明らかにすることを目的に行いました。

 

そのために、下記を行いました。

①ヒアリングや視察を通じ、運営方法、運営体制、物件、予算など実態を可視化する
②個々の事業を実施するだけでは見えてこない、本事業の構造的な課題を言語化する
③事業を実施しやすい環境整備のための改善案を制度面、運用面から提案する

 

 

既に先行実施している三自治体の事業所を訪問し、ヒアリングを行うことで、現場の実態を可視化しました。

 

 

ヒアリングを行った結果、緊急的な居住支援は、居所を失った若者に対し、即座に安全な居住先を提供でき、孤立を防ぐケアと関係性を構築する機会になります。また、生活の場を通じたアセスメントを行い、次の支援や自立に向けた準備期間を作れるなど、大きな意義があることがわかりました。

 

 

一方で、突発的な受け入れ、夜間・休日の緊急連絡、自傷行為・OD(多重服薬)等のトラブル対応、施設の維持管理業務など、現場スタッフに急激な心理的・身体的負荷がかかっていることもわかりました。

 

下記が調査を通じて見えてきた事業課題です。

 

 

そして、調査を通じて見えてきた事業課題に対する対応策を提案しました。

 

 

【参加者の感想やフィードバック】

当日、参加自治体からは、一時避難に伴う加算額が事業者の実質的な運用負担に対して十分とは言えず事業追加のハードルが高いことや、定性的な成果(孤立解消や支援の継続性など)の評価基準の難しさ、適切な職員配置モデルの提示不足など、実務・予算面における多様な課題感や課題解決への要望が共有されました。

 

また、アンケートでは、「児童養護施設等の職員の資質向上のための研修事業」や「一時避難的な短期間の居場所の提供」を今後検討・活用したいという声が多く寄せられました。自由記述等でいただいた感想の一部をご紹介します。

 

・自治体では担当者の異動(1〜2年単位)が多く、社会福祉職以外の事務方が担当することも多いため、他事業との関連性や過去の検討経緯を把握するのが困難です。今回のような基礎知識からキャッチアップできる場や過去資料の共有は大変助かります。
・シェルター等の必要性を強く感じていますが、既存の委託事業者の組織体力への懸念や、新規事業者と連携する際の個人情報の取り扱い・連携フローの構築に課題を感じています。
・一時的な居場所提供の加算額が事業者負担に比して不十分であり、予算確保や採算の面で事業追加へのハードルが高いのが実情です。
・実績のカウント基準や成果指標(定性的な評価等)が不統一なため、他自治体の先進事例や横並びでの取り組み状況を学び、庁内説明や予算交渉に活かせる情報が欲しいです。

 

【今後の展望】

アンケート結果からも、自治体担当者様に対する情報提供や資料共有への強いニーズが伺えました。今後は年1回以上のペースで定期的な情報発信・交流の場を設け、自治体担当者の皆様がよりスムーズに業務を推進できるよう、情報提供の機会を作ってまいります。

 

【問い合わせ先】

本勉強会に関してのご質問がございましたら、問い合わせフォームからご連絡ください。

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